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【フィーネ】
「州知事さん、ダメですっ……正気を保って下さいっ」
椅子の上で――半裸で拘束されている従者が言う。
何よりも私の手が届きそうで届かぬところに、
絶妙に隠された乳房があるのだ。
触れられそうで触れられぬもどかしさ、口惜しさ。
なんと非道な責め苦よ。
【ダリウス】
「うぉおおおぉっ……届かんっ、届かんぞぉっ……!」
【フィーネ】
「州知事さんっ、しっかりして下さいっ」
憎きことに、乳房の尖端をぎりぎり隠す布きれよ。
魔女は、この生殺しすら計算に入れているのだ。
【イリス】
「喋ったら、もう少しだけ下げてあげてもいいんですよ。
もしかしたら届くかもしれませんね」
【ダリウス】
「ぐっ……わ、私は……どれほど腐っていようとも、
父親であり……このような誘惑に屈することは……!」
【フィーネ】
「その心意気ですっ! 州知事さん、しっかりっ!」
フィーネが私を励まそうと声を上げてくる。
しかし、その動作で僅かに乳が――揺れた。
【ダリウス】
「ぬおぉっ、見えそうで見えぬぞおぉぉぉっ!
そこに乳があるのに、何故だ、何故触れられぬのだっ!」