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【ヴィルフリート】
「魔女の従者よ、一つ質問に答えてもらう」
【フィーネ】
「…………」
無言を肯定と捉えて、俺は言葉を続けていく。
【ヴィルフリート】
「貴様、本当に杖を忘れたのか? 手を抜いたわけではあるまいな?」
【フィーネ】
「……うぅ、好きでこんな格好したくないです……」
確かに特殊な性癖でも無い限り正論だろう。
【ヴィルフリート】
「何故、忘れた? 我らを侮っていたからか?」
従者は白い肌を両腕で隠しながら、必死に首を振った。
【フィーネ】
「昨日……麓の町で宿を借りて眠る前までは、ちゃんと杖を持っていたと思うんです」
【フィーネ】
「でも、起きたら無くなってて……部屋中を探しても、見つからなくて………」
【フィーネ】
「記憶違いで、どこかに忘れたのかなって……それで、私、慌ててエーリカさんに電話したんです」
【フィーネ】
「じゃあ、素手でも行けって言われて……」
なかなかの暴君。
もしくは魔女が我らを侮っているか。