すせり嬢 復讐支援SS  『-The bad night destiny-』  ハタヤマくんスリッパの一件後 番外   著者:駆流(A・Y) 「なっ!? やめなさい! そのブサイクな着ぐるみを私に近づけるんじゃありませんわ!」 「や、やめて……!」 「お、犯されるぅ〜〜〜っ!!!」     ・ ・ ・ ・ ・ ぎゃああああああああああああっ!!  こはくが何かをサイトの傍観者等に告げるとさくさくと部屋を出て行きます。  同時にのべ570人の汚らわしい下種な罪深き民どもも何処へと消え去ります。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」  おのれ。  愚かにも絶対なる神の意思であり、自然の摂理でもある私の意志に刃向かったあげく、その神に指紋をつけ、 汚らわしく、ブサイクで、その上おぞましい着ぐるみを着させるなんて・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  のべ570人の愚かなる山羊達め・・・・・・・・神の慈悲もつきましたわ・・・・・・・悪魔の召使いには聖なる裁きを与 えねばなりませんわ。  罪深き愚民に、神の裁きを・・・・・・・・・・・・・・    1人残らず呪い殺してやりますわ  いえ、呪うなんてとんでもない、神自ら地獄へと投げ入れてさし上げますわ そして・・・・・・・・・・・・・・・ 「お兄様、お願いがござますの」  夜中。  食事を終らせて、洸が食器を洗っている時。俺達が居間でくつろいでいる時だった。  「ん? 何だ?」 「ケスカトリポカを私にお貸しください」 「!!!?」  何? あの超自己中をか? 「ダメだ」  勿論、即答だ。  死屍王が宿る魔石は不幸なことを呼ぶ、ということもあるが、あんな変なジュエルガイストをすせりに近づ けさせたくない。 「大体、あんなジュエルガイスト、何に使うんだ?」 「それは、秘密ですわ♪」  うっ、この極上の満面な笑みは、  それが意味することは煮え滾る復讐心。  そういえば今朝から少し元気が無かったように見えたな。もしかして、昨日何かあったか? 「お兄様ぁ。お願いですわ」  うっ、そんな上目遣いで俺を見ないでくれ。  あまりに、  あまりに恐くて断りきれない。  これは、もしかすると今までに無い程に激怒しているのか、こいつは?  だとすれば、下手に断ると、俺の身が・・・・・・・・・・・・・・・  だが、それはつまり他の誰かが危険にさらされるのでは・・・・・・・・・? 「・・・・・・・・・・・わかった」  俺は自分の身の安全を選んだ。 「ありがとうございますわぁ!」  すせりがいきなり胸に飛び込んで抱きついてくる。  嬉しいような、悲しいような。  とにかく、俺が今出来ることは1つ。   これから犠牲になる奴に、そっと手を合わせて拝むだけであった。  『無事に昇天して下さい』と。  闇色の夜を、2つの魔物が駆けた。  1つは、その眩い翼を広げ、高々速で空を駆けていた。  1つは、同じ闇色の真影に深々と入り込み、影を駆けていた。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」  そして、1つの魔物の上に、それは神々しい様でおられた。  いや、その表現はいささか合わない。  何故なら、  それこそが神≠ネのだから。  深夜の夜に、鮮血が走ります。  愚かな悪魔の召使いである山羊の血ですわ。  たかが愚民の分際で、この私をこれまでとない屈辱のどん底に落とした罪は、某宗教の地獄の最下層、第9 層『反逆地獄』、或いは『絶対地獄(コキュートス)』と呼ばれる更に最下層の『最終地獄(ジュデッカ)』 に落し入れても足りませんわ。  それに、幾つか日本という国から逃亡して、海外にいる者もいるようですが、  私から逃げられるとお思いで?  そして、私は2時間足らずでのべ570人の山羊を狩りました。その鮮血で闇の夜を赤く染め上げ、山羊は 本来のあるべき『最終地獄』へと私―――絶対神である私が投げ入れてさし上げましたわ。  ですが、後一匹。  それでもまだ足りない輩がいますわ。  でも・・・・・・・・・・・・うふふふ♪  或いは自ら死を選びたくなるような苦痛を与えられるのも、  また一つの喜びですわ♪ <―――――――――――――――――――  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  ほら、早くなさい  断る。余は王なり。貴様のような女童の指図はうけん  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  はぁ? たかが1『王』が私に逆らってるんじゃありませんわ  何?  貴方、もしかして『王』という存在が何故強大な権力を持っているのか、知りませんの?  ?  『王』はね、『王権神授説』という思想にのとって民を動かすのですわ  つまり、神≠スる私に従うのが道理ですわ  さぁ、わかったら、さっさとなさい  例え、貴様のような女童が神≠ナあっても、余には関係無い  ・・・・・・・・・・・・・・・貴方、まだご自分の立場がわかっていないようで?  何を?  貴方がやらねば、貴方が地獄を見るだけですわよ?   ギンッ  お、おのれ! 女童の分際で・・・・・・・・!  さぁ、やるか、それとも『最終地獄』に神≠スる私に投げ入れられるか、選びなさい! 『王』よ!  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  ねぇ、さっきから少しうるさいですよ。  病院は、もっと静かにしてないと。  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ?  ここは、私―――こはくの病室?  でも、私、さっき寝たばかりなのに。  そういえば、前にも・・・・・・・・・・・・・・・ 「・・・・・・・・・・・・・・!!!」  思い出した時、私は恐怖で血の気が引きました。  それはついこの前。ケスカトリポカ様に命を貰った時のこと。大勢の人に、犯されて・・・・・・・・・・・・・・  思い出すのも嫌。  だって私、そんな汚いことを喜んでたし、いっぱい人の命を吸っちゃて・・・・・・・・・・・・・・  そんな記憶が事細かく蘇りました。  ・・・・・・・・・・・・・・・・・でも、  血の気が引いたのはそれが原因じゃないんです。  だって、今、私の目の前に、  その時と全く変わらない光景があるんですから。 「!!!」  一斉に私に生きているのか死んでいるのかわからない男の人達が群がります。  そして、皆して、私を・・・・・・・・・・・・・犯す。 「いやあああぁあああああっ!!!」  バッ、とベッドから起き上がります。 「はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・・・・・・・・」  汗だくな額を拭いて、私は部屋を見渡していました。  そこはいつもと変わらない病室。  さっきまで見ていた男の人達もいない、普通の病室。  どうやら、悪夢は覚めたようです。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・ふぅ〜」  正直、本当に恐かったです。  もう、あんなのは・・・・・・・・・・・・・・・・・ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・うふふふ」 「!!!」  笑い声が聞こえたので、咄嗟にそっちに振り向きます。  そこには、開いた窓に座るすせりちゃんがいました。 「な、なんだ〜。すせりちゃんか。驚かさないでよ」 「あら、それはごめんなさい」  月明かりに照らされているすせりちゃんは、でも、いつもより少し上機嫌に見えます。 「でも、ダメだよ、すせりちゃん。小さい子がこんな夜遅くに起きてて、しかも外を出歩くなんて。お姉さん 感心しないな」  ベッドから降りて、腰に手を当てながらお姉さん口調で話します。  すせりちゃんは、私が唯一お姉さんでいられる大切な人。だから、私はすせりちゃんのことが好きです。 「うふふふふ」 「? 何が可笑しいの?」 「うふふふふ。さんざんと悪夢にうなされていた貴女が、一体何を威張っているのかしら?」 「え? ・・・・・・・・・・あは、なんだバレちゃったんだ」 「ええ。それも、多くのゾンビに犯される夢」 「!? すせりちゃん?」  驚いて、すせりちゃんを見つめてしまいます。  すせりちゃんは、でもすごく嬉しそうに笑ってます。 「でも、安心しなさい。それは夢でしかないのですから」  そのすせりちゃんの言葉に、私は少し安心しました。  次の言葉を聞くまでは。 「夢から覚めれば、あの程度では終らないのですから」 「え?」  その時、私は後ろに人の気配を感じました。  おそるおそる、それこそホラー映画みたいにゆっくりと振り向きました。  そこには、正しく夢でみたような男の人達が! 「そ、そそんな!」  恐怖のあまりすせりちゃんにしがみ付いてしまいます。 「!」  でも、しがみ付いてから気付きました。  私がしがみ付いてのはすせりちゃんではなく、同じ様な男の人だということを。  窓からも、多くの男の人が入り込んでいました。 「ひぃっ!」  手を離して、ベッドの上に逃げました。  でも、そのベッドも段々と男の人達で包囲されてしまいます。 「いや、いや! いやあぁっ!!!」  恐くて頭を抱えて泣き叫びます。 「うふふふ。あんなにも威張っていたわりには、よくもまぁそんなに怯えて・・・・・・・・・・・」 「! すせりちゃん!?」  顔を上げると、すせりちゃんは男の人達と私の間に立っていました。  ああ、やっぱり、すせりちゃんが助けてくれるんだ。 「うふふふ。こはく、安心なさい」 「すせりちゃん・・・・・・・・・・・・・・・」 「私は貴女に安堵を与える気は毛頭ありませんから」  ・・・・・・・・・・・・・え?   すせりちゃんの言葉を理解するのに、何秒か時間が掛かりました。  それは、つまり、  助けてくれない? 「うふふふ。それに、貴女という人はひどい方ですわ。仮にも知った顔を前にそんなに怯えてしまって」  え? 知った顔?  がちがちと奥歯が鳴ってしまう顔を、どうにか持ち上げて男の人達の顔を見回します。  暗くてよくわかりませんが、でも、どこかで見たような・・・・・・・・・・・・・・・・・・まさか! 「では、ヒントを上げましょうか? この方達は全部で570人いらっしゃるの」  その数字を聞いて、私は確信しました。  この人達はハタヤマくんスリッパの発売希望メールを出してくれた人達。  でも、その人達がどうして? 「や、やめてください。どうしてこんなことを・・・・・・・・・・・・・」 「あら、言っても無駄ですよ。何せ、この方達は・・・・・・・・・・」   バシャッ 「もう、とっくに死んでますのよ?」  すせりちゃんが近くにいた人の頭を殴って砕きました。  赤い血が私に降り注ぎます。 「し、し、死んでる・・・・・・・・・?」 「ええ。私が地獄の底へと全て叩き落してさし上げましたわ」  にっこりと、すせりちゃんが笑いました。 「どうして? どうしてなの、すせりちゃん!? あんなに、私に命は尊いって、人を殺した罪は簡単には償え ないって、言ったのに!」 「ええ。言いましたわ。ですが、」 「人を殺してはいけないとは、一言も言っていませんわ」 「!!!」 「それに、こはく、貴女確か前に蚊を叩き潰した数を私に自慢していましたわね? 確か3桁を越したとか」 「え? う、うん」  確か、一昨年に私が最高3桁以上潰せたことをいつだったかすせりちゃんに話たことがあったけ。  でも、それが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・? 「なら、貴女は既に3桁以上の尊い命を既に奪っているのですよ」 「そ、そんなの、人の―――」 「人の命の方が大事、とでも言うのですか?」 「なら、人の命と蚊の命。どう違うのですか?」 「え?」 「人の命の価値が高いというなら、他の生命の命とどう違われるのですか?」 「それは・・・・・・・・・・・・・」 「はんっ、命の尊さの深い意味も考えずに、よく言えたものですね」 「それにね、こはく。人の命が他の命より尊いというなら・・・・・・・・・・」   ギンッ 「私みたいな化物の命は尊くはないのですか?」 「ひっ!」  すせりちゃんが赤い瞳で私を覗き込んできます。 「貴女、今何に恐怖しているのです?」 「少なくとも、『人間のすせり』には恐怖をしていない筈ですわ」 「つまり、私を『人間ではない、化物のすせり』として捉えたからですわ」 「そ、そんなこと・・・・・・・・・・・・・・」  でも、言葉が出ません。何を言えばいいのか。 「所詮は、人も、他の生命も、誰かの命を、何かの命を奪わなければ生きてはいけないのですよ。それが≪摂 理≫というものなのですよ」  そう言うと、すせりちゃんは後ずさりしていく。  それとは逆に、今度は男の人達がどんどんと私に迫り寄ってきます。 「いや、いや! 来ないで!」 「うふふふ。こはく、いいことを教えて上げましょう」  病室のドアのところで、すえりちゃんが言います。 「貴女はそののべ570人の強者達に毎晩、死ぬまで犯されていくのです。それも、発狂寸前のところまでね。 発狂してしまったら、快感に変わってしまうのですもの。そうはさせませんわ」 「それに、もしも疲労で寝入ってしまったら、今度は先の悪夢が待っていますわ。但し、与えられるのは≪生 気≫でも≪精気≫でもなく、ただの≪恐怖≫や≪憎悪≫だけですけどね」  すごく嬉しそうに話します。  その間にも、男の人達との距離はどんどんと近づいてきます。 「お、お願いすせりちゃん。助けて・・・・・・・・・・・」 「あら? さっきまでの姉振りはどうしたのです? 残念ながら、私はこの後お兄様との契りがありますので 急いで帰らねばならないのです」 「! 契りって・・・・・・・・」 「私は貴女と違って、自分の想いを正直に伝えたまでです。貴女とは違ってね」 「最も、死ぬまで死体に犯される貴女には、関係無い話ですが」  それでは、と言ってすせりちゃんが病室から出て行きます。 「あ、そうそう。何故私がこんなことをするのか、でしたわね」  その直前、私に言います。 「あんな汚らわしいものを私に着せたりするからですわ♪」  それではごきげんよう、と言って本当に帰ってしまいました。 「そ、そんな・・・・・・・・・・・」  そんなことって、そんなことってないよ。  だって、あれは約束なのに、無理矢理だったけど、でも、  そんなのって、そんな・・・・・・・・・・・ 「そんなのってぇっ!!!」  その時でした。  男の人が一斉に私を犯し始めました。    ぎゃああああああああああああっ!!  それから、私は死ぬまで、夜は死体に、現実でも、夢でも犯され続けました。  発狂して快感に変わることもなく、  ただ半永遠と・・・・・・・・・・・・ 「おはようございます、お兄様」 「ん、おはよう、すせり」  居間にいたすせりに言って、大きな欠伸をした。  正直、最近すせりとやってるせいで寝不足なんだが・・・・・・・・・・  洸ともやってるし、う〜ん。やっぱ、1日に2人というのは贅沢か。  いや、息子はすごく喜んではいるのだが、お父さん悩みどこ。 『昨夜から今朝にかけて、各地で相次いで謎の行方不明者が続出しております』   TVが丁度ニュース番組をやっており、男性キャスターが深刻な顔で話す。 『現在だけで捜索願は500を越えており、一部では北○鮮の新たな拉致ではないかとの・・・・・・・・・・・・』 「へぇ〜。そりゃ大変だな」  北○鮮といえば、カルテルも手を焼いている国だ。何せ、頭が固いからな、あそこは。 「そうだね。私も夜は気をつけないと」  隣で洸がTVに見入って言う。 「安心しろ。夜は少なくとも俺がいるからな」 「うん、そうだね」  たわいも無い雑談に浸る。  と、ふと思い出したことがあった。 「なぁ、すせり」 「なんでしょう?」 「昨日は何処行ってたんだ? 結局教えてくれなかったろ?」 「秘密ですわ♪」  まぁ、こいつに限って夜な夜な襲われる心配はないが、しかし純粋に行き先が気になる。 「う〜ん・・・・・・・・・・・・・・・ヒント」 「そうですわね・・・・・・・・・・」  すせりは少し口元に手をあてて、やがて答えた 「とても楽しいことをしてきましたわ♪」                                ――Fin――   ≪ちょっとした後書き≫  どうも。すせり嬢、葦原 武流の支援SSを過去に書かせてもらった駆流と申します。  今回、5/11現在、ハタヤマくんスリッパ報告を見て、咄嗟に思い浮かんだその後の展開を文にして見ま した。  いや、自分でも、もう少し哲学を学ばないと上手く書けないものです、と自覚しました。  最後に、すせり嬢の父の名前て『すさのお』とか言ったりするんでしょうか?(となれば、オッペンハイマー 卿の新の名は『くしなだ』とか?)  この後のエスクード様の更なるご活躍を応援致します。     (A・Y)とは、本HNの頭文字です。