| 凛子は繋いだ手を財布があるポケットまで運ぶと、器用に指先だけ使って取り出した。 | |
| それをお互いの手の甲で挟み込む形で持ち、店員の前まで持っていく。 | |
| 【凛子】 | |
| 「申し訳ございません。今日は手を離してはいけない日ですので、そこから取り出していただけると助かります」 | |
| 【女性店員】 | |
| 「は、はあ。仲がよろしいんですね」 | |
| 【凛子】 | |
| 「はい。私と真悠人様は誰よりも強い絆で結ばれていて――」 | |
| 【真悠人】 | |
| 「す、すみません。そういうことなのでお願いします」 | |
| 【女性店員】 | |
| 「くす、分かりました。では、少々お待ちください」 | |
| 店員のおかげで無事に支払いを済ませて、多少足早になりながらそこから離れる。 | |
| 今が夏じゃなくて心底よかった…… | |